老犬の難聴、飼い主の思い込みの場合も

大切な家族である愛犬にも老いは確実にやってきます。
人間よりも確実に早く。

今年、年女になった我が家の愛犬。
12歳と半年が過ぎた数週間前からちょっと様子がおかしくなってきました。
あれれ? もしかして聞こえ辛くなってきたかな。

変だと気付いたきっかけは、ご飯の時の「ヨシ」に反応せず、ずっと伏せをして待ち続けていた事でした。
「マテ」と「フセ」の様にハンドシグナル付きで「ヨシ」を教えていなかったせいで、食べさせるのに苦労する始末。それが何日か続きました。

確かにもう老犬の域に入ったし・・・もしかして老犬性難聴???

そう気になってから一週間。
日に日に聞こえが悪くなり、耳元で声を掛けるとやっと気付く、ひどい時はトントンと体を叩いてやっと気付くという事も。
そのうちほとんど聞こえなくなったのか、私たち家族との会話も成立しづらくなってきました。

犬猫の飼い主さんには分かると思いますが、室内飼いをしていると犬猫であっても確実に人間の言葉を理解していて、仕草や表情と合わせて言葉でも細かいやりとりが成立しますよね。今まで意思の疎通が出来ていた相手と徐々に言葉が通じなくなってくるのは恐怖でした。

もしかして、外耳炎で炎症を起こして耳道を塞いでいるのかもと耳の中を見てみても綺麗だし。やはり老いからくる難聴なのかな。病院に行ってもきっと「年のせいですね」で終わってしまうだろうからこのまま放っておくしかないかなと、愛犬の老いを受け入れようと思いました。

でも何かひっかかります。
ダメ元で診てもらったところ、獣医さんの答えは「聞こえにくくなったのは年のせいかもしれませんが、犬は難聴の検査をする事が出来ないので、きちんとした診断は下せないのです」との事。
そりゃそうですよね、犬は聴力検査をして自分でボタン押せませんし。
やはり老いから来る難聴かと諦めました。

が、念のため、耳の奥も診てもらったところ、30分経っても処置室から出てきません。
もしや、何か重大な病気が見つかったの??と思っていたら、出てきた獣医さんが一言。

「両耳の鼓膜の上にぴったりと大きな耳垢が付いていました。かなり洗浄しましたが、片耳がまだ取れません」

・・・耳垢????
耳掃除はこまめにしているのに何故?> <
とはいえ、犬の耳道はL字型になっていて奥まで指は届かないので、汚れが残っていても不思議はありません。

獣医さんが言うには、掃除の有無ではなく年を重ねる事で奥に耳垢が溜まってきた可能性があり、鼓膜の振えを妨害して聞こえを悪くしている原因かもしれないという事でした。
耳掃除は、人間の子供の場合かえって外耳を傷つけて外耳炎の原因になるので、最近ではしない方が良いというのが常識になってきているそうで、動物病院でも同様の指導に変えているそうです。

ひとまず外耳炎という診断となり、点耳薬を処方されました。
一週間後、まだ片方の鼓膜には耳垢が残っている状態でしたが、多少聞こえがよくなってきた感じが。

そう伝えると今度は洗浄剤を貰いました。

洗浄剤を耳道にあふれる位入れたまま、鼓膜辺りのマッサージ。それを5分間隔で3セット毎日行う事一週間。

すると、愛犬に変化が。
「ヨシ」の声にもちゃんと反応するようになってきたのです。
愛犬に聴力が戻ってきました!良かった!!

難聴の原因は老いではなく耳垢でした^^;

今回は幸いな事に無事聴力が戻りましたが、今後愛犬が老いを重ねるどういった状態になるのかよく分かりました。
老犬性難聴は必ずくるので、その時の為にも全てのコマンド(命令)をハンドシグナル付きで教え直さなければ。いい勉強になりました。
それと同時に、愛犬の老いを受け入れてあのまま病院に連れて行かなかったら、難聴が進んで本当に聞こえなくなっていたかもしれないと思うとぞっとします。

・・・と、そこで疑問が。
もしかしたら、老犬性難聴とされている中には、飼い主が変化に気付いても老いのせいと放っておいた事が原因のものも多いのではないでしょうか。

老犬を飼っていらっしゃる飼い主さん。
愛犬の変化を老いのせいにしていませんか?
年だから仕方ないと放っておくと、実は原因は違うところにあるかもしれません。
変化に気付けるのは飼い主だけ。
おかしいなと思ったら、一度病院に連れて行ってあげてください。