第2回送水口ウォークルポ(後編)

後編は、日本橋2丁目篇です。
(前編よりもかなり長くなってしまいました>_<)

とうとうこの4月から本格的な再開発が始まってしまう日本橋2丁目。
ここ以外の場所にも再開発の波が押し寄せていますが、今回は高島屋周辺の送水口を重点的に観察するとの事。

無くなるのは寂しい限りですが、時代の流れには逆らえません。
いつまでもあると思うな古き良き送水口。
これはマンホールの蓋や近代建築等にも共通した思い。
古いは正義!(←今回の参加者でもある、マンホールの蓋業界で有名な某氏の第一回マンホールサミットでの言葉)
これは本当に名言ですね。

今後いったいどのくらいの物が無くなっていくのか。
2020年東京オリンピックもあるし、、、と思うと焦るばかりです。

そんな中、参加者の皆さんと一緒に再開発地域の撤去予定ビルの送水口を観察できるのはとても貴重な体験でした。
そして、これが最後になるかもしれないと思うと悲しくもあり。。。

消え行く送水口を目に焼き付けようと歩く一同。
でも実際に散策し始めると、まだ実感が無いせいかワクワク感しかありませんでした。
(こうしてブログにまとめていると、だんだんと寂しさが>_<)

旭洋ビルの壁埋設型送水口。

二点しんにょうの送の文字。
角が丸い字体をよく見ますが、この角張った文字もカッコいいです。

でも設置されている建物が解体される為、この送水口も運命を共にします。

去年の夏に検査したばかりなのに。

もうあと少しの命です。合格していてまだまだ使えるのに。。。

同じ建物に、ステンレス製の自立型送水口もありました。

口が縦配置で前編で見てきたものと形が違いますが、他にも違う所が。
よく見ると「連結散水設備用」という文字が書かれています。

先程までの送水口は連結送水管と書かれていて、建物内部の放水口に水を送るもの。
これは建物内部のスプリンクラーに繋がる送水口だそうです。
連結散水設備用=スプリンクラー用。

ここでスプリンクラーの説明がありました。
開放型と閉鎖型があり、開放型の管に水は入っておらず穴は常に開いていて、手動でバルブを開けるなどして水を出す方式。
閉鎖型はその逆で、管の中に水が溜まっていて、熱を感知すると普段は閉まっている穴が開き水が出る方式。

開放型はコンサートホールや美術館(天井が高く熱感知し辛い場所、水濡れをなるべくさせたくない場所)などに設置。閉鎖型は普通の建物(?)に設置され、通常スプリンクラーといえば閉鎖型が多いそうです。

この送水口の設置場所の説明図にも「閉鎖型」の文字が。

反対側の壁にもスプリンクラー用の送水口がありました。

横置き壁埋設型を縦置きに流用バージョン。

壁埋設型担当番号付きバージョン。

放水区域図にある番号に合わせて担当が決まっています。

掘ってある文字も大好きですが、この盛り上がったタイプも好きです。

再開発反対の看板を掲げている建物や粛々と解体を待つ建物を見ながら進むと、こんな送水口が。

壁埋設型縦置きバージョン。

斜め上にある鎖留め、幅いっぱいのプレート額縁、筆文字っぽい字がいい味出してます。

その後、消え行く街並みを暫し歩き、趣のある建物の全体や部分を撮影&観察する一同。
至る所に解体のお知らせが張られていました。

高島屋新館も解体されます。

額縁の中に収まっている送水口達。

横並びの赤いキャップが可愛いです。
ドレンチャー用の送水口もありました。

ここでドレンチャー送水口の説明が。
ドレンチャーは水の防火壁。消すのではなく延焼させないための設備で、そこに水を送るのがドレンチャー送水口。
この建物の1階部分は駐車場で、天井にはスプリンクラーっぽい物が付いていました。
放水口の色が違う物があり、多分それがドレンチャー設備ではないかとの事でした。

太陽生命ビルの壁埋設型送水口と防火栓。

防火栓は採水口と同じ役割で、言い方が違うだけだそうです。
防火栓=採水口。
その証拠にちゃんと隣に開放弁が付いていますね。

スプリンクラー送水口もありました。

反対側の壁にも同じ様に送水口と防火栓、スプリンクラー送水口が。

全員が鎖で繋がっている様に見えます。
特に離れているスプリンクラー送水口の助けて欲しそうな感じがたまりません。

表記もまた面白いです。水噴霧用の表記。

送水口の字体も先程と違っているし。
同じ建物にある設備なのに何故違うのか。あえて変えているのか。
面白いです。

高島屋第二北別館に入っているロッテリア 日本橋高島屋店の壁埋設型送水口。

カタカナ表記!「サイヤミーズコネクシヨン」。
ヨが大きいです。

ロゴのアップ。

マンホールの蓋でもおなじみ三機工業製です。
蓋と送水口を作っている会社。素晴らしい。

高島屋本館の壁埋設露出Y型送水口。

馬蹄形のオールドプレートに二点しんにょうの送の文字。
ころんとしたフォルムも可愛いです。
さすが老舗百貨店の送水口なだけに、お掃除が行き届いていてピカピカ。
いつ見ても素敵です。うっとり。

反対側にも同じ物がありましたが、こちらは後付けの「連結送水管」プラスチックプレートもあります。

百十四銀行東京支店の自立型送水口と防火栓。

これもよく磨かれていて金ピカです。
防火栓には自転車を留めるチェーンが巻かれています。
毎日特定の人に自転車留めとして使われてるのでしょう。(←いけません)
あれ?何か変です。

こうして見ると、今まで見てきた物よりも背が低い!

チラッと写っている左右の方達のお陰で分かりやすくなりました(^^)

豪華な大理石の壁に設置された壁埋設露出Y型送水口。

馬蹄形のオールドプレートにカタカナ表記の「サイアミーズコネクシヨン」!
(サイヤミーズではなくサイアミーズ。そしてまたヨが大きいです)
ズの濁点の入れ方がとても可愛いです。

正面からでは分かりませんでしたが、よくよく見てみると、プレートと口本体(?)の素材や色味が少し違っています。

Ayaさんの予想では、多分プレートをそのまま残して口本体だけを似た物に交換したのではとの事。

この送水口に繋がっている配管とバルブ。

色もバルブの腐食具合もカッコイイです。

一見普通の自立型送水口。でも、口部分が長い!

そして、片方の赤キャップが足元に落ちていました。風が吹いて無くなりませんように。

建物のオーナーさんに可愛がられていると思われる、手書き&手作りプレートの送水口。

無垢材に書いているのかと思いきや、木製の箱の蓋の様な物でした。

しかも、金網に針金で固定してあるだけ!
オーナーさんグッジョブです。

頭が扁平な自立型送水口。

ここのお供え物は自転車の鍵でした。
置かれてからずっとこのままなのでしょう。錆が出ています。
このまま送水口と同化しそうです。
後ろにあったバルブも渋かったです。

村木ビルディングの壁埋設型単口送水口。

色と形のせいか、横から見ていると飲茶をしたくなります。

中の弁もいたずらされている様子はなく一安心。

壁埋設露出Y型送水口のプレートの形に合わせてレンガを切って設置してある例。

ロゴと鎖留めのアップ。鎖留めのためだけにこんなに細かくレンガを切って丁寧な仕事をされています。

見えないお洒落。素敵です。

八重洲中央ビルにある送水口の遺構と、新しく設置された外付けの送水口。

遺構のアップ。

確かにメーカーロゴらしきものと送水口の文字が。
かつて、ここに自立型送水口があったのですね。

壁埋設型送水口の遺構と新しく設置された外付け送水口。

新しい方は壁にめり込んでいる訳でもないのに、送水口に合わせて壁が切られています。
これは丁寧でもお洒落でもありません。
でもそこがまた、設計と指示をされた方の人間性が出ていていいのかも。

これは送水口なのか、オブジェなのか。

使えるものは残そうという気持ちはあるのでしょうが、これは正直微妙です。。。
そもそも使えるのか。やはりオブジェ?

こちらは古い送水口をしっかりと残してくれています。

が、、、、

鎖留めを設置し忘れています!!!

丁寧に場所を確保したのに、あ、忘れてた、とばかりにただ上に置いておくだけの適当っぷり。
設計者と施工者の性格の違いが出ていて面白いです。

鎖留めの部材ってこうなっていたのですね。初めて見ました。
壁の中にはこんなに長い物が入っていたとは!
消防隊員の方が実際に使うときは迷惑になりそうですが、構造が見られてこれもまたグッジョブ物件。

縦置きの壁埋設型送水口とスプリンクラー送水口。

鎖は無くなってしまっていますが、赤い蓋が素敵です。
「消防隊専用送水口」の表示を見ると何故かドキドキしてしまいます。
送水口はどれも消防隊専用ですが、こうして宣言されるとより専門の設備っぽい感じがするからかも?

蓋には開閉の仕方が英語表記で書かれています。

そして、本日のトリを飾るのは
ブリヂストン美術館のWALLHYDRANTとSIAMESE CONNECTION&スプリンクラー送水口。

堂々たる馬蹄形オールドプレート。

オールドプレートの採水口は実物を見るのはこれが初めて。
カッコいいっ!!!

残念ながら、一年程前にTwitterで見た時よりもピカピカ度が減ってしまっています。
お掃除する人が以前と変わったのでしょうか。
でも、金色の中に緑青が浮いている感じは好きです。
そして送水口達の周りの壁がうっすらと白く縁取られているのは、今お掃除をされている方もそれなりに一生懸命やっている証でしょうか。

ピカピカではなくなってしまいましたが、やはりカッコイイです。素敵な物であることに変わりありません。
磨けるものなら磨きたい、ボランティアでやります、磨きます!
という会話をしながら、送水口ウォークは終了となりました。

約3時間半の濃厚な時間。
やはり専門家のお話を聞きながらの観察は勉強になり、楽しく充実した内容でした。
そして、わいわいがやがやしながらの散策は、新しい観察対象の発見や刺激に繋がりますね。

この後、八重洲地下街の沖縄料理屋さんでランチ懇親会。
参加者の皆さんは送水口だけでなく元々路上観察を趣味にされている方が殆ど。
美味しい料理を食べながらそれぞれの趣味の話が聞け、とても楽しい時間が過ごせました。
参加された皆さんありがとうございました。
また次回の送水口ウォークでお会いできますように。

そして、素敵な企画を立てて案内してくださったAyaさん、本当にありがとうございました。

今日出会った送水口達以外にも沢山サヨナラする物があります。
高島屋本店やブリヂストン美術館の送水口は大丈夫そうですが)
早い所では4月1日から解体作業をすると聞きました。
こうしてまとめていると、あの日見た物達が無くなってしまうんだという実感が徐々に湧いてきました。
現存を確認出来るチャンスはあと僅か。。。
まだこれらの送水口をご覧になっていない方、この土日が最後のチャンスですよ>_<

そして、再開発地域になっていなくても、ある日突然無くなる事もあります。
出来るだけ沢山でかけて、これからも沢山の素敵な送水口達に出会えます様に☆

(長々ととりとめのない長文にお付き合いいただきありがとうございました!)

〈2014年3月21日撮影〉