8月の京都府五条通の下水道管破裂事故について、鉄蓋工場見学で分かった事

先週行った鉄蓋工場見学で、マンホールの蓋の浮上防止実験を見る機会がありました。

古い蓋は、豪雨などでマンホール内に大量に水が流れ込んだ場合、中から圧がかかって蓋が飛んで(外れて)しまい、思わぬ事故に繋がることがあります。
最近、ゲリラ豪雨のニュースなどでも蓋が外れて水が吹き出している映像を見かけますが、それを防ぐため、各鉄蓋メーカーは飛散や浮上防止の機能を施した蓋を開発しています。

今回見学させていただいた長島鋳物さんもそうした蓋を作っていて、マンホール内が満杯になったらどうなるのか、実際に見せて下さいました。

実験に使われた蓋にはロック機構が設けてあり、ある程度圧がかかってくるとその圧を逃がすため蓋が数センチ上がる設計になっていて、勢い良く水が高く上がっていてもそのロック機構のおかげで蓋は外れません。

「マンホール内の圧をこうして逃がして、菅の破損を防いでいます」

なるほど、と説明を聞きながら、勢い良く吹き出す水柱を見てふと頭をよぎったものがありました。

去る8月16日に京都府五条通で起こった、ゲリラ豪雨による下水道管破裂事故の事です。

下水道管破裂による路面隆起、冠水水没し通行止めになり、TVのニュースでも取り上げられていたので、ご覧になった方も多いかと思います。

そして、私が見たニュースでは、コメンテーターと司会の人がこんな会話をしていました。

コ「最近では、圧を逃がすための工夫がされたマンホールの蓋もあり、この道路にもそういった蓋が設置してありましたが、あまりの豪雨に水道管が破裂した様です」
司「新技術が施されていたのに、何故こうした事故が起こってしまったのでしょうか」
コ「開く高さが足らなかったのでしょう」
司「くしくも、日本の技術にもまだまだ課題があるということが分かりましたね」
コ「開く高さを高くするなどもっと工夫が必要です。異常気象も頻発していますし、メーカーにも更なる研究をしていただいて、今後こうした事故が起こらない様にしてほしいですね」

??

圧は逃げていた筈だけど、逃がす圧が足らなかったのかな。
でも、開く高さが足らない??
本当にそれが原因?
何だか納得がいかないぞ。。。

そのニュースを見て以来ずっと思っていた疑問を工場の方に質問してみました。

事故現場になった道路には、3つの飛散防止蓋が敷設されていて、その内の2つが開かなかった結果、圧を逃がしきれず管の破裂に繋がったそうです。

蓋が開かなかった原因は、トラックなどの過積載車両。
法定以上の重量が常に蓋にかかり続けていた結果、蓋が枠に入り込んだり歪んでしまったりでうまく機能しなかったようです。

メーカーでは様々な実験や計測を行って開発していますが、法定以上の重さについては計算しきれず、かといってすぐに開く様にしてしまうとガタツキや破損の原因になってしまうとのこと。

何事も、事故を防ぐ第一歩は決まりをきちんと守る事。その重要性を改めて感じました。

それにしても、あのコメンテーターの如何にもメーカーの技術がまだまだだというコメント。
何人の視聴者が蓋メーカー(もしくは下水道局)の技術不足のせいだと思ったことでしょう。
TVでコメントするなら、ちゃんと知識のある人にしてほしいですね。


余談:陸上自衛隊が公道で戦車などを自走輸送させた場合、後で隊員たちが舗装を剥がして敷きなおす事がありますが、その際、蓋がどう扱われているのか気になります。
その都度更新作業まではしないでしょうが、ちゃんとガタツキや歪みなどを見てくれていればいいのですが。
管轄外なので、各ライフライン毎に検査依頼をしているとか?


参照記事:京都新聞
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20140816000114